2015年2月8日日曜日

安倍首相の教科書修正圧力に対して、米歴史学者の抗議声明   妄言者は誰か?

安倍首相の教科書修正圧力に対して、抗議する声明が米歴史学者から出ている。


抗議しているのは、マニング教授などの権威者19人で、日本政府による米教科書会社への圧力を「安倍政権、慰安婦関連の確立された歴史の削除の試み」「右翼過激派がジャーナリストや学者らを威嚇している」と批判している。


ハンギョレ新聞によるとパトリック・マニング(ピッツバーグ大学)、アレクシス・ダデン(コネチカット州大学)教授など19人の歴史学者たちは5日、「日本の歴史家たちを支持する」と題した声明で、「私たちは最近、日本政府が第二次世界大戦当時、日本帝国主義による性的な搾取の野蛮なシステムの下で苦痛を経験した日本軍慰安婦について、日本およびその他の国の歴史教科書の記述を抑圧しようとする最近の試みに驚愕を禁じ得ない」と述べたという。文部省の検定を通過しなければ教科書として販売できない日本では、政府の圧力も通用して来た。最近では数研出版が’慰安婦’’強制連行’の表現を削除した件が有名だ。
しかし同じやり方が海外に対して通用するわけがない。昨年末に日本政府は米国の歴史教科書『伝統と遭遇:過去に対するグローバルな視点』を出版したマグロウヒル社と著者に、慰安婦関連の文章を削除することを要求し、この学問の自由に対する干渉に批判が高まっていた。


「日本軍は14~20歳の約20万人の女性を慰安所で働かせるため強制的に募集、徴用し、『慰安所』と名づけられた軍施設で働くように強要した。日本軍は、このような事実を隠蔽しようと多くの慰安婦の女性たちを虐殺した」の記述をめぐって


この「慰安婦」の記述はいくらかの誤謬を含んでいるというのが、日本政府の主張だが、歴史学者でもない閣僚や官僚たちが判断できることではありえない。何よりもこの記述は安倍たちにとって大先輩である荒船清十郎代議士発言を根拠にしている。

雑誌『世界』2015年2月号に掲載されたラインハルト・ツェルナー教授(ボン大学、日本韓国研究)論文によると欧米で慰安婦の虐殺が広く知られるようになったのは、自民党の荒船清十郎代議士の発言だったという。荒船清十郎代議士は1907年生まれ、戦前にはすでに政治家として活動し埼玉県会議員となり、戦後は国務大臣、衆議院副議長なども務め、日韓条約交渉の特別委員であった。荒船は、1965年11月地元の後援会で「朝鮮の慰安婦が14万4千人死んでいる。日本の軍人がやり殺してしまった。」と発言したのである。

  朝鮮の慰安婦が14万4千人死んでいる。日本の軍人がやり殺してしまった ー 荒船


この発言はかなり有名であり、1992年3月21日の参議院予算委員会で清水澄子議員がこれにからめた質疑をしており、同年の12月には公明党の中西珠子議員が、アメリカ人弁護士カレン・パーカーにその情報を伝えている。パーカーは1994年に国連に論文を提出し、「慰安婦の内生き残ったのは約四分の一」と書いている。これを情報源に1998年ゲイ・マクドーガルが報告書を提出した。マクドーガルは荒船発言を根拠に「・・・レイプセンターでの性奴隷制度を20万以上の女性に強制した」「これらの女性の25%しかこのような日常的虐待に耐えて生き残れなかったと言われる」とした。

           妄言者は誰か?


最近、安倍政権の閣僚たちや右派論壇によって、「吉田清治記事を書いた朝日新聞が慰安婦の嘘を広めた」という宣伝がなされたが、吉田清治など国際社会にはほとんど影響を与えていない。影響が大きかったのは、勲一等旭日大綬章さえ受けている極めて地位の高い自民党政治家・荒船清十郎の発言であった。




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