2015年6月5日金曜日

公使館領事館の給与調査

外務省の費用の中に領事館附駐在武官の項目は存在していない。


① 公使館領事館費用条例に定められた俸給を見る




署名原本・明治二十四年・勅令第三十三号・公使館領事館費用条例制定無任所外交官年俸、交際官並領事費用条例廃止
階層
レファレンスコード
A03020096500


作成者名称
内閣
資料作成年月日
明治24年03月31日


内容
朕茲ニ公使館領事館費用条例ヲ裁可ス 睦仁 外務大臣子爵青木周藏 勅令第三十三号 公使館領事館費用条例 第一章俸給 第一条 外交官、領事官、公使館書記生及領事館書記生ノ俸給ハ分テ本俸在勤俸及加俸ノ三種トス 第二条 外交官及領事官ノ本俸ハ明治十九年勅令第六号及明治二十三年勅令第三十六号高等官官等俸給令ニ依ル但左ノ場合ニ於テハ其半額ヲ給スルモノトス 一賜暇帰朝ヲ許サレタル者ニシテ帰朝後六箇月ヲ過キタルトキ 二養痾ノ為帰朝ヲ許サレタル者ニシテ帰朝後三箇月ヲ過キタルトキ 三前両項ノ期限内ニ於テ外国在勤ヲ免セラレタルトキ 四無任所外交官又ハ無任所領事官ニシテ特ニ省務ニ従事スヘキコトヲ命セラレサルトキ 第三条



給与表









② 明治二十六年の公使館領事館費用条例改正を見る



件名標題(日本語)
御署名原本・明治二十六年・勅令第百七十一号・公使館領事館費用条例改正
階層
レファレンスコード
A03020154200


作成者名称
内閣
資料作成年月日
明治26年10月30日


内容
朕公使館領事館費用条例ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム 睦仁 外務大臣陸奥宗光 勅令第百七十一号 公使館領事館費用条例 第一章 俸給 第一条 外交官、領事官、公使館書記生及領事館書記生ノ俸給ハ本俸、在勤俸及加俸ノ三種トス 第二条 外交官及領事官ノ本俸ヲ定ムルコト左ノ如シ 特命全権公使 年俸(一級 四千円 二級 三千五百円 弁理公使 年俸 三千円 代理公使 公使館一等書記官 総領事 年俸 一級 二千五百円 二級 二千二百円 三級 二千円 公使館二等書記官 一等領事 年俸 一級 千八百円 二級 千六百円 三級 千四百円 四級 千二百円 公使館三等書記官 二等領事 年俸 一級 千円 二級 九百円 三級











大正七年勅令第二百二十二号電信ニ関スル事務ニ従事セシムル為外務省ニ臨時職員増置ノ件及同年勅令第三百二十九号外務省ニ西比利亜ニ関スル事務ニ従事スル臨時職員増置ノ件ヲ廃止シ○外交官及領事官官制○在外公館職員定員令中ヲ改正ス
階層
レファレンスコード
A13100407000


作成者名称
内閣總理大臣||樞密院副議長子爵清浦奎吾||外務大臣子爵内田康哉
資料作成年月日
大正9年8月21日~大正9年10月22日
記述単位の年代域
大正9年


内容
外甲七六ノ四 大正九年九月三十日 外交官及領事官官制中改正ノ件 右枢密院御諮詢ヲ経テ御下府ニ付同院上奏ノ通公布ノ儀奏請相成然ルヘシ 上諭案 朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ外交官及領事官官制中改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム 御名 御璽 大正九年十月二十二日 内閣総理大臣 外務大臣 (上奏ノ通) 臣等外交官及領事官官制中改正ノ件諮詢ノ命ヲ恪ミ本月二十九日ヲ以テ審議ヲ尽シ之ヲ可決セリ乃チ謹テ上奏シ更ニ聖明ノ採択ヲ仰ク 大正九年九月二十九日 枢密院副議長子爵臣清浦奎吾 勅令第四百九十四号 外交官及領事官官制中左ノ通改正ス 第十条中「公使館領事館費用条例」ヲ「在外公館費用条例」ニ、「外務省政務局長又ハ外務省通商局長」ヲ「又ハ外務省各局長」ニ改ム







外務省の費用の中に領事館附駐在武官の項目は存在していない。




外国駐在陸軍武官の給与

さーて、給与や経費はどうなってるんだろうね?もし外務省から出ているなら、外務省記録にあるはずだが、とりあえず「駐在陸軍武官」で<アジア歴史資料センター>を検索。

こんなんでました。

外国駐在陸軍武官ノ旅費ニ関スル件ヲ定ム大正6年~大正7年




内閣
陸甲一五 大正七年四月二十五日 別紙大蔵陸軍両大臣請議外国駐在陸軍武
官ノ旅費ニ関スル件ヲ審査スルニ右ハ相当ノ儀ト思考ス依テ請議ノ通閣議決定
セラレ可然ト認ム 勅令案 呈案附箋ノ件 参照 外国駐在陸軍武官給与令 明治
三十年六月二十二日勅令第二百十六号陸、大臣副署 改正 三六年第一二〇号
、四一年第一六二号、四二年第一六七号、四三年第一四八号 朕外国駐在軍武
官給与令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム 外国駐在陸軍武官給与令 第一条 外国
駐在ヲ命セラレタル陸軍武官ノ諸給与ハ陸軍給与令ニ於ヲ定ムル第一表ノ俸給
及宅料ヲスルノ外本令ノ定ムル所ニ依ル 第二条 本邦出発ニ際シテハ出発手
当、本邦ト駐在国間往復ノ為ニハ旅次手当外国駐在中ハ駐在手当ヲ給ス





さて、外国駐在陸軍武官給与令(勅令第二百十六号) を探ってみよう。


御署名原本・明治三十年・勅令第二百十六号・外国駐在陸軍武官給与令制定外国駐在視察陸軍武官給与令廃止

内閣
明治30年06月19日
朕外国駐在陸軍武官給与令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム 睦仁 明治三十年六月
十九日 陸軍大臣子爵高嶋鞆之助 勅令第二百十六号 外国駐在陸軍武官給与
 第一条 外国駐在ヲ命セラレタル陸軍武官ノ諸給与ハ陸軍給与令ニ於テ定ム
ル所ノ現役俸職務俸及宅料ヲ給スルノ外本令ノ定ムル所ニ依ル 第二条 本邦出
発ニ際シテハ出発手当帰朝ニ際シテハ帰朝手当、本邦ト駐在国間往復ノ為ニハ
旅次手当外国駐在中ハ駐在手当ヲ給ス 第三条 外国駐在中乗馬ヲ要スル者ニ
ハ馬匹ヲ貸与シ馬飼料ヲ給ス但シ借馬ヲ以テ応用スルトキハ其ノ実費ヲ給ス 第
四条 任務上必用ノ事項調査ノ為メ@ハ駐在国軍隊等ノ演習ニ際シ駐在地ヲ離
ルル七英里以上ノ地ニ派遣シ若ハ移転セシムルトキハ駐在手当ノ外派遣手当及
汽車料、舩舶料、車馬料ノ実費ヲ給ス 第五条 出発手当@朝手当旅次手当駐
在手当派遣手当及馬飼料ノ金額ハ別表ニ依ル

いろんな手当を出すよ」と言っている。そして

「陸軍武官ノ諸給与ハ陸軍給与令ニ於テ定ムル所ノ現役俸職務俸及宅料ヲ給スルノ外本令ノ定ムル所ニ依ル」


という。




御署名原本・明治三十一年・勅令第百七十七号・海外在勤外交官領事官等
臨時手当給与ノ件



組織歴/履歴
内閣
内容
朕海外ニ在勤スル外交官領事官等ニ臨時手当給与ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公
布セシム 睦仁 明治三十一年七月二十七日 外務大臣伯爵大隈重信 勅令
第百七十七号 海外ニ在勤スル外交官領事官貿易事務官公使館通訳官外
務書記生外務通訳生警部及巡査ニシテ其ノ在勤地ニ於テ戦時若ハ事変ニ
際会スルトキハ其ノ継続中在勤俸年額又ハ在勤月手当ノ十分ノ五ニ相当ス
ル金額以内ヲ手当トシテ給与スルコトヲ得 本令手当金支給方ハ明治二十六
年勅令第百七十一号公使館領事館費用条例中在勤俸支給ノ例ニ依ル



これに対して外務省では


御署名原本・明治二十七年・勅令第百九十七号・朝鮮国在勤ノ外交官及領事
官以下ニ臨時手当給与


内閣
明治27年12月02日


内容
朕日清両国間交戦中朝鮮国在勤ノ外交官及領事官以下ニ臨時手当ヲ給与
スルノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム 睦仁 外務大臣子爵陸奥宗光 勅令
第百九十七号 日清両国間交戦中朝鮮国ニ在勤スル外交官公使館書記生
領事官及領事館書記生ニハ其ノ在勤俸年額十分ノ三ニ相当スル金額以
内ヲ手当トシテ臨時給与スルコトヲ得 朝鮮国ニ在勤スル警部巡査ニハ前項
ニ準シ其ノ在勤月手当十分ノ三ニ相当スル金額以内ヲ手当トシテ臨時給与
スルコトヲ得 本令手当金支給方ハ明治二十六年勅令第百七十一号公使館
領事館費用条例中在勤俸支給ノ例ニ依ル





在外公館費用条例中ヲ改正ス


外務大臣子爵内田康哉||内閣總理大臣
大正8年4月4日~大正8年5月23日


外甲一八 大正八年五月二十三日 別紙外務大臣請議氏外公館費用条例中改
正ノ件ヲ審査スルニ右ハ相当ノ儀ト思考ス依テ請議ノ通閣議決定セラレ可然ト認
ム 勅令案 呈案附箋ノ通 参照 在外公館費用条例 明治二十六年四月 勅令第
百七十一号 第一章 俸給 第一条 外交官、領事官、外務書記生ノ俸給ハ本俸、
在勤俸及加俸ノ三種トス 第二条 [削除] 第三条 待命外交官及待命領事官ニハ
其ノ本俸三分ノ一以内ヲ給スルコトヲ得但シ臨時外務省ノ事務ニ従事スルコトヲ命
セラレタル者ニハ九人ヲ限リ其ノ本俸全額以内ヲ給スルコトヲ得 第四条 [削除]
 第五条 シ勤俸ハ外国在勤ノ場合ニ於テ本俸ノ外別表第一号及第二号ニ依リ任
所到著ノ翌日ヨリ給ス但シ領事館分館在勤ヲ命セラレタル副領事及領事官補




陸軍給与令を読んでおく





『陸軍給与全書』
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/798040

から


【陸軍給与令】=陸達222が定める「俸給」に関して

明治32年12月1日から施行やがて改正され【陸軍給与令細則】として36年12月1日から施行

第4条 俸給 三種とす
1、俸給 準士官以上に給する
2、給料 下士兵卒に
3、手当金 諸生徒に

第5条
準士官以上の現役の者の俸給は表に
停職中は半額

第6条
在職の者には職務俸 第2表
参謀総長は大将の年額を給し

加給するのは第8条

下士兵卒に下宿加俸
●憲兵下士上等兵に憲兵加俸
など

宅料

は18条から
在職準士官以上に

糧料
21条から

被服
29条から

馬匹
39条から






【陸軍給与全書】
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/798040

【陸軍給与令】の表













2015年6月1日月曜日

任免 命課 進退に関する辞令書の一部省略及官報陸軍命課通報等登載区分並辞令伝達要領制定の件


この資料は
陸軍の人事局補任課が法務官の退職などと合わせ在外
公館附武官同補佐官の命免も

「官報登載のみに留め辞令書を交付せざるもの」
に決定した。

という資料である。



任免 命課 進退に関する辞令書の一部省略及官報陸軍命課通報等登載区分並辞令伝達要領制定の件

昭和12年「密大日記」第1冊




レファレンスコード
C01007507100


作成者名称
人事局補任課



昭和11年~12年


密受第一二五六号

 陸密
任免、命課、進退ニ関スル辞令書ノ一部省略及官報、陸軍命課通報等ノ登載区分並ニ辞令傳達要領左ノ通定ム
昭和12年7月 日
陸軍大臣 杉山元 
陸密第七六〇号 昭和12年7月29日

左記ハ別紙ノ通 陸普 陸軍命課通報要領等発止ノ件 副官ヨリ陸軍一般ヘ牒按 (甲) 任免、命課、進退ニ関スル辞令書ノ一部省略及官報、陸軍命課通報等ノ登載区分並ニ辞令傳達要領制定ニ伴ヒ左記規定ハ自然消滅ノ義ト承知相成度 陸普第四四八四号 昭和12年7月29日


p1










「在外公館附武官同補佐官」と書かれている。

これは陸軍の人事局補任課が法務官の退職などと合わせ在外
公館附武官同補佐官の命免も

「官報登載のみに留め辞令書を交付せざるもの」
に決定したのである。




                  
p2





p9




p10